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血管外漏出について

抗がん剤 血管外漏出時の対応マニュアル フローチャート

kitokito

公立学校共済組合 中国中央病院 化学療法委員会(薬剤部) 2013.4

血管外漏出時の組織障害性に基づく分類 院内使用薬剤一覧表

ビシカント薬
Vesicant drug
イリタント薬
Irritant drug
ノンビシカント薬
Non vesicant drug
不明
・アブラキサン
・イダマイシン
・エクザール
・オンコビン
・カルセド
・コスメゲン
・サイメリン
・ダウノマイシン
・テラルビシン
・ドキソルビシン
・ドセタキセル(タキソテール)
・ナベルビン
・ノバントロン
・パクリタキセル
・ファルモルビシン
・フィルデシン
・マイトマイシン
・マイロターグ
・ワンタキソテール
・アイエーコール
・アクプラ
・アクラシノン
・アルケラン
・イホマイド
・エルプラット
・エンドキサン
・カルボプラチン
・ジェムザール
・ダカルバジン
・ドキシル
・トポテシン
・トレアキシン
・ハイカムチン
・ブリプラチン
・ベプシド
・ベルケイド
・5-FU
・アービタックス
・アバスチン
・アリムタ
・キロサイド
・サンラビン
・ハーセプチン
・ビダーザ
・フエロン
・ブレオ
・ベクティビックス
・メソトレキセート
・リツキサン
・ロイスタチン
・ロイナーゼ
・トリセノックス
⇒報告なし。
・ブスルフェクス
⇒報告なし。中心静脈からの投与のため分類されないと考えている。文献にて根拠はないがビシカント薬ではないかという報告あり。
・フルダラ
⇒報告なし。
・ミリプラ
⇒報告なし。主成分はシスプラチン。

商品名で表記しています

参考:医療の質向上のためのチーム医療への薬剤師の関与とその成果に関するエビデンス集(1)がん医療領域(日本病院薬剤師会薬剤業務委員会)、がん化学療法ワークシート第3版(じほう)、現場で使える抗がん剤安全管理クイックブック、腫瘍内科,5:266-269,2010抗癌薬の血管外漏出、トレアキシン適性使用ガイド、Guideline for the management of extravasation of acytotoxic agent or a monoclonal antibody used in the treatment of malignant disease、各薬剤取扱メーカー問い合わせ、各薬剤インタビューフォーム

Vesicant drug (ビシカント) 壊死性抗がん剤
少量の漏出でも、紅斑、発赤、腫脹、水疱、壊死を経て、難治性潰瘍へと進行する可能性がある薬剤。
重度の皮膚障害を起こし、時に著しい疼痛を伴う難治性潰瘍となり、治癒に数ヶ月という時間を要するばかりではなく、変性や機能障害を起こすこともある。

Irritant drug(イリタント)炎症性抗がん剤
一過性の腫脹、発赤、疼痛はあるが、潰瘍形成には至らない局所の炎症を起こす可能性がある薬剤。

Non vesicant drug (ノンビシカント) 非壊死性抗がん剤
多少漏出しても炎症や壊死を生じにくい薬剤。

血管外漏出初期症状 炎症の進行に伴う症状
・疼痛・灼熱感
・腫脹 発赤
・点滴滴下速度低下
・血液の逆流がない
・水疱形成
・硬結
・潰瘍 などの皮膚症状

抗がん剤 血管外漏出予防のポイント

血管外漏出を予防するために
患者指導
1. 適切な点滴部位を選択する。

より末梢部位から選択する。
(手背や関節部位は­避ける)
太く弾力のある血管を選択する。
24時間以内に穿刺した血管部位より中枢側を選択。(前回穿刺部位からの漏出を予防)
下肢はできるだけ避けること。
漏出が起きても適切に対応ができる部位を選択する。

2. 血管穿刺時は、生理食塩水で血管確保を行なう。

抗がん剤で血管確保を行なうことは避ける。
静脈ポートにヒューバー針を穿刺する時も生理食塩水で開通性を確認する。

3. 留置針穿刺部位は透明ドレッシングで固定し、常に穿刺部位を観察できるようにする。

4. 血管に確実に留置されているか確認する。

点滴ボトル交換ごとに、必ず血液の逆流を確認。
漏出を早期に発見するためと、どの薬剤が漏出したのかを明確にするため。
静脈注射は2~5ml注入毎に血液逆流を確認

5. 抗がん剤投与後、点滴ルート内を生理食塩水(約50ml)でフラッシュする。

点滴ルート管内に残った薬剤をきれいに注入できることと、留置針抜去時に穿刺部周囲への抗がん剤の漏出が予防できる。

6. 抜針後は止血を確認、留置針穿刺部位の周囲の腫脹・発赤・疼痛の有無を再確認する。

抜針後の止血がうまくできていなかった場合、数日間、腫脹や内出血の症状が出現し「抗がん剤が漏れたのではないか」と患者は不安感を抱くので確実な止血は大事である。
患者がいつでもナースコールを押せるように、手が届く位置にナースコールをセットしておくこと。

抗がん剤が血管外に漏れた時は、痛みや腫脹、発赤を生じること、抗がん剤の種類によっては血管外に少量でも漏れると、強い障害が残る可能性があることを事前に説明する。
留置針穿刺部周囲が「チクチク痛い」、「ヒリヒリする」、「あつい感じ」、「違和感がある」など異常を感じたら、看護師にすぐに知らせるように伝える。
トイレなどの移動のたびに、「点滴が漏れていないか」を患者とともに確認する。
服装の注意点で袖口はゆるいデザインのものを着用するように説明する。
自宅に帰ってから数日の間に発赤、腫脹、疼痛の症状が出現した場合は、病院に連絡するように説明する。

 

〈注意点〉
もし、抗がん剤の血管外漏出が発生した場合は、「抗がん剤 血管外漏出時の対応マニュアル フローチャート」を参考に対応する。なお、静脈ポートからの抗がん剤点滴で漏出が発生した場合も薬剤に応じて対処する。
血管外漏出時の組織性に基づく分類 一覧表の「不明」の項目にある薬剤においても、医師に処置方法を確認して対応する。
ビシカント薬は輸液ポンプを使用せず自然滴下が望ましい。
薬剤、血管の状態に応じて留置針のゲージ(太さ)を選択する。
抗がん剤の特性を理解し、投与方法や投与時間などを厳守し点滴管理を行なう。

公立学校共済組合 中国中央病院 化学療法委員会(看護部)  2013.5

参考文献

  • 国立がん研究センター内科レジデント編 がん診療レジデントマニュアル 第5版 医学書院 2010
  • 国立がんセンター内科レジデント編 がん診療レジデントマニュアル 第4版 医学書院 2007
  • 国立がんセンター中央病院通院治療センター編 がん外来化学療法マニュアル 南江堂 2009
  • 飯野京子,森文子 編 「安全 確実 安楽ながん化学療法ナーシングマニュアル」 医学書院 2009