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運動によるメタボ対策

メタボリックシンドロームとは、肥満症(特に内臓脂肪型)に伴う高血糖、高血圧、脂質代謝異常など生活習慣病と呼ばれる病態を呈し、動脈硬化を基礎とした疾患が発症しやすい状態であることを示しています。大事に至る前に予防・改善することが重要です。

Q : メタボリックシンドロームに有効な運動はありますか?

A : メタボリックシンドロームには、生活習慣が大きく関わっていることは、言うまでもありません。近年、運動不足の影響が注目され、運動の重要性が強調されています。運動というと時間が取れないとか、運動は好きじゃないとか、指導してくれる人がいないとか言われ、継続して運動をすることは困難な場合が多いようです。しかし、身体を動かすことは運動だけではありません。日常生活における活動も身体を動かしている事には変わりありません。より日常生活動作を活動的にすることがもっとも手っ取り早いメタボ対策になります。肥満の人と痩せている人を比べると肥満の人は座っている時間が長く、やせている人は立って動いている時間が長いという調査結果があります(図1)。1日にすると352kcalの差があるそうです。半年で脂肪1kgに相当する差です。日常生活をより活動的にすることがメタボ対策の基本です。

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Q : ウォーキングをしていますが、もっと効果的なウォーキング方法はありますか?

A : 近年、筋量・筋力が生活習慣病の予防に重要であることがわかってきました。通常のウォーキングでは負荷が軽すぎて筋力や持久力を増強する効果が得られないことが明らかになりました。そこでインターバル速歩を紹介します。これは信州大学の研究チームを中心にデータを集め、マシントレーニングに匹敵する筋力増強効果が認められたウォーキング方法です。その方法は、「さっさか歩き」と「ゆっくり歩き」を数分ずつ交互に繰り返すウォーキング方法です。1日トータルで15分以上、週4回以上を目標にします。さっさか歩きの速さは、自分の歩く最大の速歩の70%を目安に、ややきついぐらいの強さです。歩く姿勢は、胸を張って踵から接地して大股で腕を90°に曲げてしっかり振ります。3分のさっさか歩きがきつい場合は、2分から始めてもかまいません。

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Q : 筋トレがダイエットや転倒予防などにいいと聞いたのですが、きつい運動は苦手で。 もっと楽に筋力がつく方法はありませんか?

A : 筋力を強化するためには、負荷をかけた訓練が必要です。負荷は強ければそれだけ効果もあるのですが、中年以降では高血圧など持病があったり、体力が低下していたりと、通常の筋トレができない場合があります。そこで最近は新しい筋トレとして負荷を著しく低下させても筋力強化ができるトレーニング方法が提案されています。その一つにスロートレーニング(スロトレ)があります。スロトレの基本方法は、ゆっくり動かすこと。動かす関節をロックしないこと。息を止めて頑張らない。5~10回を目安に無理のない範囲で行うことです。たとえば、スクワットをするとすれば、ゆっくりしゃがんで少しお尻を浮かした状態で止まり、ゆっくり膝を伸ばして膝が完全に伸びきらいない状態まで立つ。これを5回~10回繰り返します。この方法は、軽い負荷を筋肉に加え続けて血流を制限しながら行うことによって、筋肉は乳酸をたくさん出し、その乳酸が成長ホルモンの分泌を促し、新陳代謝を活発にし脂肪を分解し、そして筋肉を発達させます。スロトレは毎日やる必要はなく1日おき、2日おきで1日10分を目安に行ってください。

総括主任理学療法士 尾野耕太郎