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慢性閉塞性肺疾患(COPD)について(平成22年9月号より)

COPDとはタバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入ばく露することで生じた肺の炎症性疾患で気流閉塞を生じるものと定義されます。このCOPDという病気の日本における有病率は8.6%と推測されており世界の国々と同程度の高い有病率であることが明らかにされています。

COPDには喀痰症状が年に3ヶ月以上あり、それが2年以上連続して見られる慢性気管支炎と肺の末梢(肺胞)の破壊が生じる肺気腫とあります。COPDに多い症状として早期には慢性の咳、痰がありある程度進行すると体動時の呼吸困難が出現します。体動時の呼吸困難は持続性で進行性であるのが特徴です。

初期には階段や坂道を上がるときに気づく程度ですが、進行すると同年代の人と同じ速さで歩けないことや、軽い体動でも呼吸困難が出現するようになります。診断に関しては胸部レントゲンなどで特徴的な陰影を示すこともありますが呼吸機能検査が最も大切です。

呼吸機能検査で1秒量(最大努力呼出時の最初の1秒間の呼出量)が減少することです。重喫煙者の方はぜひ一度検査を受けてみてください。治療についてはまず喫煙者の方は禁煙をすることです。

喫煙は呼吸機能を低下させますが禁煙することにより呼吸機能の低下を抑制し、死亡率を減少させることは示されており、禁煙はCOPDの自然経過に最も大きな影響力があると考えられています。

喫煙している方にとっては禁煙をすることは非常に困難のように感じられるかもしれません。

まずは禁煙と結びつくような生活パターンを改善することが大切です。どうしても喫煙したい欲求が出現すればその対処法として冷たい水を飲むこと、深呼吸をすること、ガムをかむこと、体操をするなど行い気を紛らわすようにしましょう。

また、禁煙のための薬物治療については以前よりニコチンパッチなどがありましたが最近は比較的副作用の少ない内服薬での治療も可能です。当院でも禁煙外来を行っておりますので興味野ある方はぜひ受診してください。

COPDの薬物両方については気管支拡張剤(抗コリン薬、β-2刺激剤など)の吸入が基本となります。特に最も効果が期待できる薬剤は1回の吸入で作用が1日持続する長時間作用性抗コリン薬です。薬物療法以外では呼吸リハビリテーションが大切です。呼吸法により呼吸困難の度合が改善することもしばしばあります。

基本は口すぼめ呼吸、腹式呼吸です。いずれも息を吐くことを重点に行うことが大切です。

当院においても理学療法士による呼吸リハビリテーションを積極的に行っています。また、特に冬季は感染症に伴い急激に呼吸状態が悪化することがありますので感染の予防(手洗い、うがい)は大切です。

冬季の代表はインフルエンザです。COPDの方はぜひ冬季以前にインフルエンザワクチンを接種してください。最後にCOPD質問票を掲示します。合計点が17点以上ではCOPDが疑われますのでぜひ呼吸器内科を受診してください。

内科医長 岡田俊明