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糖尿病と脂質代謝異常 人間ドックの活用1

教えてDr.!!

糖尿病と脂質代謝異常

検診でもっとも多くの人で問題となるものに、血糖と脂質の異常がある。どちらもメタボリックシンドロームに深く関わり、いわゆる生活習慣病として知られている。

糖尿病関連(血糖値とHbA1c)

血糖は、食事の前後によって変動するが、正常の人では、空腹時で60前後から、食後でも130前後までの範囲に収まっている。検診では、主に早朝空腹時の血糖を測定する。

正常値は、空腹時血糖で99以下であるが、特定健診では、100以上で、保健指導の対象になりうる。126以上では、糖尿病が疑われる値である。糖尿病で空腹時血糖が高くなるのは、かなりの年数が経ってからであり、空腹時血糖だけでは、初期の糖尿病が見逃されることになる。

それを力バーする目的で、HbA1cという1~2ヶ月の血糖の平均を反映する数値の検査を行っている。HbA1cは、5.1%以下が正常で、5.2%以上で特定健診の指導対象になりうる。6.1%以上では糖尿病が疑われる値となる。

なお、H24年4月から、HbA1cの基準値が変更される。新しい基準は、HbA1c(NGSP)と表記され、今までの値はHbA1c(JDS)と表記される。新基準(NGSP)は旧基準(JDS)+0.4%に相当する。

先ほどのHbA1cの判定値も、新基準のHbA1c(NGSP)では、すべて+0.4%となる。

ただし、特定健診の表記は、H24年度は、旧基準(JDS値)で表記することになっている。もし、どちらか判らないときには検査した施設に問い合わせる必要がある。

脂質代謝異常

体内の脂質は、細胞膜やホルモンを作る元になるため、体に必須な成分であるが、脂質異常は主に動脈硬化を促進させるため、治療が必要となる。脂質は、コレステロール(Cho)と中性脂肪(トリグリセライド、TG)に分けられる。また、Choは、悪玉であるLDLと、善玉であるHDLに分けられる。能質代謝異常の基準値は以下の通りである。

  • 高LDLコレステロール血症140mg/dl以上
  • 低HDLコレステロール血症40mg/dl未満
  • 高トリグリセライド血症150mg/dl以上

 

最近では、総ChoからHDLの値を引いたnonHDLコレステロールを目安にする方法もある。検診結果をみるうえで、注意が必要なのは、LDLの数値である。直接法は、現在のところ、検査方法によって、誤差が大きいことが問題となっている。これを避けるため、LDL=総Cho-HDL-(TG÷5)で計算するF値という数値を参考にする。(ただし、TGが400以上では、計算式は使えない。)

なお、治療の開始基準や目標値は、他の動脈硬化のリスクをどのくらい持っているか、一次予防であるのか二次予防であるのかで、異なってくる。(一次予防とは、また’病気が起きていない状態で、将来の発病を予防することであり、二次予防とは、発病した後に、再発をしないように予防することを意味している。)動脈硬化のリスクとしては、加齢、喫煙、高血圧、糖尿病、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患の家族歴などがあげられる。

まとめ

糖尿病も脂質代謝異常も初期段階では、症状はなく、数値異常を示すのみのことが多いため、放置されていることも多い。

しかしながら、糖尿病の合併症(網膜症、腎症、神経障害)や、動脈硬化による大きな血管の閉塞による病気(心臓発作、脳卒中、下肢閉塞性動脈硬化症)が起こってしまうと、体を完全に元に戻すことは困難となり、生活にも支障をきたすようになる。

また、医療費も高くなってくる。できるだけ初期の段階で対処することが重要であり、そのために、検診やドックを活用していただきたい。

健康管理科部長 平田教至