HOME > 更新情報 > 広報誌 > 岡山支部 > バセドウ病について

バセドウ病について

中国中央病院からの健康アドバイス 第66回 

Qかかりつけの病院でバセドウ病と診断されました。病気の特徴、治療法を教えてください。

A甲状腺から分泌される血中甲状腺ホルモンの量が何らかの原因で増加したために起こるのが甲状腺機能亢進症です。代表的疾患ではバセドウ病があり、自分の甲状腺に対する自己抗体が原因で甲状腺が刺激されて甲状腺ホルモンが過剰になり、動悸、頻脈、体重減少、発汗過多、手指のふるえ、眼球突出などの眼症状、甲状腺の腫れ、イライラなどの神経過敏、下痢、倦怠感、筋力低下などの症状が出現する病気です。

誘因として、遺伝的素因を背景に感染やストレスなどの環境因子の関与が考えられています。

診断のキーポイントは

①甲状腺機能亢進症に伴う症状と甲状腺全体の腫れ

②甲状腺ホルモン高値と、頭蓋底部にある下垂体という内分泌腺から分泌される甲状腺刺激ホルモンの低値

③自己抗体陽性

④放射線ヨード接取率上昇とされます。

バセドウ病の治療には抗甲状腺薬による内科的治療、放射線ヨードによるアイソトープ療法、甲状腺を切除する外科療法があります。日本においては内科的治療が第一選択として最も広く行われています。抗甲状腺薬の内服によって甲状腺ホルモンの合成を阻害し、機能を正常化します。抗甲状腺薬による治療初期はやや多めの量を服用し、甲状腺機能を測定しながら少しずつ服薬量を減らします。最低でも1~2年継続投与したほうが再発率は低いようですが、かなり長期間服用し、検査結果からも中止可能と判断した場合でも再発する場合が少なくありません。服用初期には白血球減少、肝障害、発疹などの副作用に注意が必要です。とくに白血球がほとんどなくなってしまった場合は危険で(1000人中1~2人の割合)、高熱とのどの痛み等が出現したらすぐ白血球数を調べましょう。服薬量が減ってからは副作用の心配はほとんどありません。

放射線ヨードによるアイソトープ療法は、ヨードが選択的に甲状腺に取り込まれることを利用して放射性ヨードを内服し、甲状腺の細胞内部より照射破壊し甲状腺ホルモンを低下させます。アイソトープ療法は多くの例で甲状腺機能が低下してくるために、甲状腺ホルモン薬の服用が一生必要となります。適応となるのは、抗甲状腺薬によって副作用が出現する例や寛解しない例、手術再発例などです。被曝の問題から若年者や近々妊娠を希望する女性などでは避けたほうが良いと考えられています。外科療法の適応に関してはアイソトープ療法と共通しますが、そのほかに腫瘍を合併している例、甲状腺腫が非常に大きく手術希望の例、短期間での治療希望の例となります。手術療法の理想的な目標は内服薬を必要としない甲状腺機能の正常化ですが、実際に正常化できるのは30%程度とされています。残す甲状腺の量が少ないと、機能低下症をきたして一生甲状腺ホルモン薬の補充が必要となりますし、残す量が多いと10~20%の頻度で機能亢進症が再発します。

以上のことを踏まえ当院の外科療法では、再発の心配がないように甲状腺全部を切除し、副作用の心配のない甲状腺ホルモン薬の服用をお勧めしています。バセドウ病に対する3治療法のいずれかで甲状腺ホルモンの値を正常に保っておけば、日常生活に支障はなく、予後も良いことを銘記しておいてください。

一般外科・内分泌外科部長 和久利彦