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大腸がん

中国中央病院からの健康アドバイス 第57回

1981年から、がんは日本人の死亡原因の1位で、最近では総死亡の約3割を占めています。大腸癌に限ってみると、男性では12人に1人、女性では15人に1人が一生のうちに大腸癌と診断され、また男性では34人に1人、女性では44人に1人は大腸癌で死亡することが推定されています。大腸癌の死亡率は男性では肺癌、胃癌に次いで第3位、女性では第1位で(2010年)、増加傾向にあります。

大腸癌発癌の原因は、遺伝的要因と環境要因の両方が関わっています。大腸癌の約2割で、遺伝的要因の関与が推測され、家族性集積を示す大腸癌があるのに対し、残りの約8割はいわゆる散在性大腸癌で、食事・運動・嗜好品などの生活習慣、環境要因が主因と考えられています。代表的な遺伝性大腸癌(全体の2〜5%)の場合は、家族歴を有し、大腸癌の発症年齢が一般の大腸癌と比較して早いのが特徴で、これらの疾患が疑われる場合は、40歳以下でも大腸内視鏡検査を一度行うことが必要となります。

早期大腸癌の場合はほとんど自覚症状はみられず、進行癌でも、出血(血便)、便秘、しこり(腫瘤)、腹痛などの症状を有する方は半数程度です。一方で大腸癌への罹患は40歳代から増加する傾向があり、大腸癌による死亡を減少させるためにはがん検診が重要となります。

大腸癌検診としては便潜血検査が一般的で、1〜2年ごとの便潜血検査が大腸癌死亡率を15-33%減少させることが示されています。また、1回限りの大腸内視鏡検査と2年ごとの便潜血検査とで癌の発見数はほぼ同じであったという報告もでています。便潜血陽性の場合でも、がん発見率は3%、早期癌を含めた腺腫(ポリープ)の発見率は20%以下と意外に低いのですが、全米ポリープ研究では大腸癌の9割がポリープ切除により予防可能で、腺腫性ポリープを切除した患者では、しなかった集団と比較して大腸癌死亡率が約50%低下すると推定されています。したがって、便潜血検査が陽性の場合は、「痔だろう」などと軽く考えず、必ずかかりつけ医を受診し、相談の上、内視鏡による精密検査を受けることが大切です。

大腸内視鏡検査は、下剤で腸内を空っぽにした後、直径13ミリの内視鏡を使用して観察します。検査自体は15〜20分と短いですが、準備や検査後の休息がいるので、半日くらいを要します。

大腸に癌が見つかった場合でも、早い段階で見つかれば内視鏡治療のみで治癒が可能です。手術が必要な場合(粘膜下層浸潤:1mm以上)でも、大腸から遠く離れた臓器(肝、肺、腹膜など)への転移がなく、周囲のリンパ節への転移が3個までの段階なら、手術により根治する可能性は7割以上です。当院では見た目の傷も小さく、術後の痛みも少ない、患者さんにとって負担の少ない腹腔鏡下手術でほとんど対応しています。

繰り返しになりますが大腸癌の早期発見・早期治療を行うためには、まず検診です。加えて、「肥満を避け、適度な運動をする」「野菜や果物などで食物繊維、ビタミンを取る」「高脂肪食を避ける」「禁煙、節度を保った飲酒」など、普段の生活面でも、予防を心掛けることが大切です。

消化器癌治療・大腸外科部長 神原 健