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CKD(慢性腎臓病)

中国中央病院からの健康アドバイス 第44

-63才男性。高血圧で治療中ですが、主治医から尿にタンパクが降りていてCKDだと言われました。CKDとは何のことでしょうか。わかりやすく説明してください。

 1.CKDとは、ChronicKidneyDisease、慢性腎臓病のことです。

CKDとは、「ChronicKidneyDisease」の頭文字の略称で、日本語では「慢性腎臓病」と訳されています。慢性的に進行していく腎疾患の総称として使われ、表1のように三つの条件により定義されています。

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*蛋白尿などを調べる尿検査は健診などでよく行われますが、試験紙で簡便に調べることもできます。最近では試験紙が薬局などで市販もされています。CKDは早期には自覚症状が少ないため、積極的に健診などで尿検査を受けないと発見できないことがあります。

*糸球体濾過量とは、老廃物を体外へ出すために腎臓が尿を作る力を示す詳しい指標で、クレアチニンという血液検査、年齢、性別で推定できます。正常は100程度と言われています。

参考URL(http://www7a.biglobe.ne.jp/~aijinkyo/ckd.htm

 2.CKDは、新たな「国民病」です。

CKDの患者数は現在、約1,330万人と推定され、日本の成人人口の10%を占めるといわれています。そのため、CKDは新たな「国民病」ともいわれています。CKDは、表2のように5段階に重症度(病期)が分けられ、1期から5期に進むにつれ、腎機能は悪化していきます。CKDは早期にはもちろん、すでに3期にさしかかっていても自覚症状が乏しいことがあり、知らない間にどんどん病気が進行してしまいます。CKDが進行すると末期腎不全となり、最終的には人工透析などをしないといけない状態になってしまいます。

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表2病期12345糸球体濾過量90以上60~8930~5915~2915未満腎機能低下はないが、蛋白尿などあり軽度低下中等度低下高度低下末期腎不全、人工透析など必要

 3.CKDは万病のもと!!でも、治療で進行が防げます。

CKDがある人は、ない人と比べ、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の危険性が高まると言われています。特に高血圧、糖尿病、脂質代謝異常の3つの病気は、CKDを進行させてしまいやすいのでCKDの人で、なおかつ、これらの病気も合併している場合、これらの治療をすることがCKDの進行予防にもつながります。

以上のように、CKDとは①腎臓の異常を早期に発見して進行を予防する、②人工透析が必要となるような末期腎不全や心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の患者数を減らす、この2つの目的のために考えられた疾患概念と言えます。皆さんも積極的に健診などで、尿検査、血液検査を受けてCKDの早期発見に努めましょう。

一般内科部長 中迫幸男