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胃と大腸について 人間ドックの活用3

教えてDr.!!

胃と大腸の検査

どの検査もそうですが、がん検診も検査の感度、つまり癌があっても見つけることのできる割合は100%ではありません。癌の好発年齢になったら、毎年の検査を受けることと、要精査となったら、二次検査を受けることが大事となります。胃癌と大腸癌はともに、40歳前後から発症が増えてきます。

胃癌について

胃癌は、発症率、死亡率共に低下してきていますが、罹患率(2005年)は、男性1位、女性2位、死亡率(2009年)は男女とも2位となっています。胃癌のリスクとしては、たばこ、塩分の濃い食事が知られています。一方、野菜や果物の十分な摂取はリスクを下げる効果があります。

検診としては、胃X線検査が有効です。胃X線検査では、約10%の人が要精検となり、その内80%の人が精密検査を受け、検査を受けた人の約2%に癌が見つかっています。受診者全体からみると、0.2%弱の人に癌がみつかります。なお、胃X線検査の感度は70~80%となります。

内視鏡検査、いわゆる胃カメラについては、胃X線より早期癌をみつける能力は上であり、0.5%前後に見つかることが報告されています。最近、胃癌はピロリ菌感染が大きな原因であることがわかってきました。このことより、ピロリ菌の感染の有無と、胃の粘膜の萎縮の程度などより、胃癌のリスクがどのくらいあるかをみる、ABC検診という方法もあります。これは、血液のピロリ菌抗体とペプシノーゲンを測定する方法です。この検診方法は、まだ確実に胃癌を減らす効果があるかどうかわかっていませんが、有効な方法の一つと考えられており、これから普及していく可能性があります。

胃癌は早期に見つかれば完治も十分に期待できる時代になっています。従来の開腹術より体に負担の少ない腹腔鏡による手術や内視鏡での手術の技術も進歩しており、検診結果を十分に活用してもらいたいと思います。

大腸癌について

大腸癌の罹患率(2005年)は、男女とも2位、死亡率(2009年)は、男性3位、女性1位となっています。大腸癌のリスクとして、たばこ、飲酒、肥満、加工肉(ハムなど)、赤肉(牛、豚、羊)があります。リスクを減らすものとして、適度な運動が有効です。

検診としては、検便による潜血反応(血液反応)が有用で、検便を毎年受ける方法では、大腸癌の死亡率が減るといわれています。受診者の7%が要精査となり、その内50%強の人が精密検査を受け、二次検査受診者の5%前後の人に、大腸癌がみつかるといわれています。検診者全体からみると癌発見率は0.15%前後です。便潜血の感度は、早期癌で50%、進行癌で80%前後の報告が多いようです。

大腸癌検診で最も有効なのは、大腸内視鏡検査になります。癌を見つける感度は95%といわれています。検便で要精検となった場合も、内視鏡検査による精密検査となります。内視鏡検査は、ポリープや早期癌であれば、そのまま治療をすることができる方法になります。

大腸癌についても、症状が出てからの見つかる人に比べると、検診で見つかる人の大腸癌は、早期のものである確率が高くなります。検便で要精検であっても、精密検査を受けておられない方を見かけますが、より早期にみつかるチャンスをみすみす逃さないようにしていただきたいと思います。

健康管理科部長 平田教至