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小児の特性と病気について

組合員の方々への健康アドバイスということですが、私は小児科医なので、小児の特性と病気について書かせていただきます。お子さんをお持ちの組合員の方々の参考になれば幸いです。

小児は未熟なもので、少しずつ成長して成人に近づいていきます。感染免疫力も、新生児はほとんどなく、母体から胎盤をとおして免疫をもらいます。受動免疫といわれますが、母親がもっている終生免疫(おもにウイルス感染に対するもの)をもらうので、細菌感染に関しては、ほとんど無防備です。この受動免疫も生後半年ほどで消失してしまいます。

したがって、新生児では感染に気をつけなければいけません。哺乳瓶・吸い口の消毒やへそのアルコール消毒が必要です。生後2ヵ月までの発熱は原則入院管理です。大部分は軽症で、数日で退院しますが、中には敗血症や髄膜炎を起こしている例もあります。上気道から細菌が血液中に侵入し、血行性に脳周囲に到着し、そこで炎症・化膿を起こしてしまうのが細菌性髄膜炎です。抗生剤の大量投与が必要ですので、抗生剤の無い戦前では救命ができませんでした。今でも、知能障害やてんかん、水頭症などの後遺症を10数%に残すと言われています。新生児で発熱を認めたら、その日のうちに小児科を受診しましょう。

ものをしゃべらない小児はわかりにくいでしょうと、しばしば言われます。しかし、思春期以前の小児はほとんどうそをつきませんし、理学的所見はとれます。みぞおちや肋間がぺこぺこしていれば、それは陥没呼吸といって、呼吸困難を示します。陥没呼吸を認めたら、早急に医療機関を受診しましょう。陥没呼吸は脳幹からの指示で起きるので、意図的にはできません。乳児では大脳皮質が未熟なので、陥没呼吸をしていても笑うことがあります。苦しさを感じる閾値が高いのです。そのため、急にしんどそうになったといって医療機関に駆け込むことがしばしばあります。顔色や機嫌を見ることも大事ですが、ゼイゼイいうときには、胸郭の動きも観察しましょう。RSウイルス感染は1月から2月、その親戚のヒトメタニューモウイルス感染は3月から6月が好発時期で、いずれも喘鳴や呼吸困難を引き起こします。幼弱な小児ほど重症化しやすい傾向にあります。

免疫力は成長とともに増加していきますので、小学校入学位から小児科を受診することはずいぶん減っていきます。

最後に、口腔ケアについてすこし述べます。歯が生えてきたら、虫歯を心配される母親がしばしばおられます。お母さんの指にガーゼを巻いてこどもの歯を拭ってあげましょう。上の前歯の裏側に虫歯ができやすいいので、そこを重点的に拭ってあげてください。いきなり歯ブラシを口にいれると、びっくりしたり、怖がったりすることが多いのですが、お母さんの指ですと、恐怖感を感じにくいのです。3歳ぐらいになったら、歯ブラシで歯磨き

が出来るようになりますが、まず自分でやらせて、仕上げはお母さんがしてあげて下さい。

最後に。未熟なこどもたちが、成人になり、人の子の親になるまでが、育児です。守り続けてあげて下さい。

小児科部長 藤本 清一