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ビタミンDについて-特に骨粗鬆症薬としての活性型ビタミンD製剤について-

【はじめに】

ビタミンDは骨を強くする栄養素としてはカルシウム(Ca)とともにまず思い浮かぶかと思います。しかしながら、ビタミンDの作用、特に骨以外への作用については周知されていないと思います。本稿ではビタミンDの作用、骨粗鬆症薬として用いられている活性型ビタミンD製剤について述べたいと思います。

【ビタミンDの種類(天然型、活性型)】

天然型ビタミンDは食事として摂取されるものと皮膚で紫外線を浴びて合成されるものとがあります。ビタミンDの供給源となる食品は魚類とキノコ類に限られおり、日本人はビタミンD不足の割合が高いと報告されています。その後肝臓、腎臓で代謝されて活性型になります。現在医薬品としてわれわれが処方しているのはこの活性型ビタミンDです。

【ビタミンDの作用】

活性型ビタミンDは、腸管からのCaの吸収を高め、骨の石灰化を促進して骨密度を増加させる(新陳代謝を高める)働きを有しています。その結果、骨折の予防・抑制へとつながるのです。 ビタミンDの骨以外の作用についてはいろいろな研究がなされています。癌、炎症、免疫、心血管系、皮膚、筋肉などへの作用が報告されています。皮膚科領域では乾癬(かんせん)の治療薬として用いられていますし、また筋肉へ作用し、転倒を抑制するとされています。  

【ビタミンDの筋肉への作用】

“骨格筋にはビタミンD受容体が分布しており、ビタミンD欠乏が筋力低下に関連する” “Ⅱ型筋線維へ作用することにより体幹の揺れが減少し、転倒を抑制する”ことなどが明らかとなっています。   ビタミンDの筋肉への作用

【ビタミンDの副作用】

ビタミンDを過剰に摂取しますと高Ca血症、高Ca尿症になります。その結果、腎機能・胃腸障害や尿路結石の危険性が高まります。また嘔吐、食欲不振、体重減少などが症状としてあらわれることがあります。

【終りに】

活性型ビタミンD製剤は骨粗鬆症治療の一翼を担っています。重度の骨粗鬆症ではビスホスホネート製剤との併用が有効との報告があります。ビタミンDを上手に摂取し、骨粗鬆症を克服していきましょう。ご質問のある方はお近くの整形外科専門医を受診してください。

整形外科部長 角南 勝利